中核市になるということ

 中核市移行を念頭にこれまで様々な都市について見聞を深めてきました。中核市を断念した上越市,小田原市。推進した寝屋川市。また実績のある長野市。中核市になると保健所を持つことになりますが,その在り方で県と市で持ち合うという全国初となった松江市。保健所行政については長野県,長野市保健所,松本保健所,等々。
 移動した距離は何千キロにも及び,中核市の姿というものが,ようやくにしてわかってきました。

 国はなぜ,中核市となる人口の要件を30万人から20万人へと引き下げたのでしょうか。ここが最も大切な論点です。即ち,少子高齢化,人口減少社会がこれからも継続し,生産労働人口の減少と高齢者の増加という傾向の中で,全体の人口が減少していく。日本の経済そのものが人口減少とともにシュリンクしていく。今,小学校,中学校,高校,大学が廃校なり合併なりで総数が減少しているその傾向が,自治体にも及んでいくのです。つまり,消滅する自治体が出てくるということが,中核市をつくらなければならない最大の要因といっていいでしょう。

 中核市は一方で,地方における人口ダム機能が期待されます。進学・就職で都会へ出た若者は出身地へ帰ってくることは難しいのが現状です。しかしながら,都会へ出た者も待遇・諸条件によっては帰りたいと考えているといわれています。その諸条件とは,処遇であり,生活環境です。当然のことながら魅力のない地域ではそうしたことは望むべくもありませんが,一定程度の規模と都市の風格を兼ね備えたまちは若者にとっても魅力的に映ることでしょう。また,地域にとどまり就職した者も他へ出ようという考えは起こりにくいものと考えられます。
 こうした人口ダム機能を中核市は持つことができます。

 ただし,人口ダム機能を追求した場合,これは一つの市だけでできるものではありません。「中核市」ですので,その周りを取り巻く地域とも大いに連携し,シナジーを利かせながら圏域全体が発展していくことが必要です。

 さて,このように見てくると,「中核市」移行への考え方として初めに来ると思われるもの,それは,保健福祉政策推進,市民サービスの向上,市民の安心・安全の確保などもありますが,なんといっても松本地域が継続的に維持,できれば発展していくこと,ということでしょう。

 少子化と高齢化が進んだ人口減少社会は一層進展していきます。その時代を本市はどう生き抜いていくのか。確かに保健所や人件費の問題はありますが,今選択しなくてはならないのは,これからの時代を生き抜くこと。

 切実さを感じている人がどの程度なのかはわかりませんが,少なくても現状を踏まえた未来の姿に気づいてしまったものにとっては,未来を展望した知恵が,まさに今,求められています。