シックスティーズと言われた1960年代,アメリカはエネルギー自給自足の国でした。しかしその後エネルギー消費の増大に伴って輸入国へ。自給率は80%まで低下したそうです。ところがいわゆるシェールオイル革命で2030年にはエネルギー自給自足の国へと再び転じるといわれています。
さて,そうした情勢で登場するトランプ大統領。アメリカが今後シェールオイルを増産し,石油や天然ガスの輸入を減らす政策をとれば,世界の需給は大きく緩み,1バレル50ドルの水準まで回復していた原油価格が急落することになります。
そうした状況となれば,経済的に打撃を受けるのは中東産油国。ここで起きるであろうことは,原油収入に頼ったばらまき政策の行きづまりと,そこからくる政権への不満の高まり。王族の富の集中を国民は許さないのではないか,ということです。
トランプはどうも中東の安定化については不可能であり,むしろイスラム教同士で戦わせ疲弊させたほうがアメリカの安全は高まる,と考えているようです。
中東の不安定化で原油や天然ガスを輸入している日本はエネルギー不足になることは確実ですし,中東からエネルギーが買えないということになれば,アメリカはシェールで大儲け。
一方で,中国もエネルギーがないと困りますので,中国としてはアフリカのエネルギー資源を取りに行くことが考えられますし,ロシアは中東を勢力圏に収める構想もあるようです。
現在は予測にすぎませんが,保護主義を掲げるトランプが現在の世界経済のバランスを崩せば,こうした事態は想定しておく必要がありそうです。
はたして第3次オイルショックとなってしまうのでしょうか。