人工知能

AI(Artificial Intelligence),人工知能が何かと話題です。囲碁や将棋の世界で人工知能はよく登場しますね。AIについて例えば医療の分野では,人間の医師が新たな知見を得ようとして読める論文の数は年間でせいぜい一桁ぐらいに対し,人工知能は百万単位でそうした知識を蓄積しています。したがって医師はより正しい判断となるようAIに求めるのだそうです。

先日もNHKスペシャルでAIのことが取り上げられ,いくつかのことが話題となっていました。曰く
①健康になりたければ病院を減らせ。
②少子化を食い止めるには結婚するより車を買え。
③ラブホテルが多いと女性が活躍する。
④男の人生のカギは女子中学生のぽっちゃり度。
⑤40代一人暮らしが日本を滅ぼす。
等々というもので,そうかなあと思うものも,そうではないだろ,と思うものもあったわけです。

これまで人間が行ってきた研究や知識の蓄積など儚いものと映ってしまいます。

一方,人類のこれまでと今後を考察した「サピエンス」という本も話題です。約600万年前に存在したある一頭の類人猿のメスに二頭の娘がいて,一頭はチンパンジーの祖先となり,もう一頭が私たちの祖先となったといいます。そして,今に通じるヒトとは違うヒト(例えばネアンデルタール人等)から進化して約7万年前,ホモサピエンスとして登場しました。その後1万年前の農業革命(狩猟採集から農耕となり,爆発的に人口が増加),500年前の科学革命,そして現代に至ることになるのですが,昔と今では果たしてどちらが幸せなのか,という問いを投げかけています。確かに人口の増加が果たされているわけなので生物種としては大成功であったわけですが,暮らしの質は,狩猟採集時代よりも落ちていると疑問を呈しています。それは例えば,未来への不安を招いたことや,人種や性別の格差,差別,搾取も生んだことなどから,物質的豊かさと幸福は相関しないのでは,としています。さらに,国家や市場の台頭は家族とコミュニティーの衰退を招き,地球の温暖化,汚染など自らの生息環境の悪化も指摘しています。

そうした経過を踏まえて私たち人類はどこへ行くのか。信じられないっ様な話ですが将来は,遺伝子工学や生物工学によって天才人間を作り出すことや,不治の病に打ち勝ち永遠の命を手に入れることさえも可能となるのだそうです。さらに自らの脳のバックアップをつくって,自分とは別であるはずのバックアップ脳が稼働することも不可能ではない。

こうした流れは倫理的な問題があっても止めようがないそうで,つまり自分の欲望を操作できる日は近い,のだそうです。そのように何もかもが思うがままになろうとしている中で私たちが直面している信の疑問は,「私たちは何になりたいのか」ではなく,「私たちは何を望みたいか」という非常に哲学的な提起をしています。非常に難しい問題ですがいずれその答えを出さなくてはならない日が来ることも確かなようです。

AIの発達や先進工学の進展は今の人間のありようを大きく変貌させることになるのですが,なにか気持ちがよくありません。やはり太古の昔の方が真に幸せだった,ということでしょうか。