松くい虫対策

 松くい虫対策としての薬剤空中散布の是非をめぐって反対派が気勢を上げています。散布される薬剤によって妊婦や子供に悪影響が出る,というのがその理由とか。しかし,こうした事実を私は寡聞にして知りません。また,生態系にも影響が出るとしてそれも大きな反対の理由のようです。

 人間が生活していく上で一定のリスクはありそれを最小限にしていくのが智恵というものでしょう。例えば火を使えば火傷や火災,炭酸ガスによる地球温暖化といった問題もあります。そうした危険を極力避けることで生活ができています。また,現在は田植えの時期ですが,農薬なしで米を作ることは極めて難しいことも私たちは知っています。確実にあるリスクを極力ヘッジすることで私たちは脅かされない生活を送ることができます。

 松くい虫はセンチュウという虫をカミキリムシが運ぶことで感染します。(なんだか新型コロナウイルスみたいですね。)被害を拡大させないためには,虫が入ってしまった松の伐倒燻蒸(ばっとうくんじょう),薬剤の樹幹注入,そして薬剤の空中散布という方法がありますが,人が分け入れない急峻な山の松を守るためには空中散布しかありません。空中散布を行うことはこれまでに多くの議論を尽くし,今年度の予算も決定されているところ。

 実は昨年,散布個所にある問題があり,散布ができなかった場所がありました。悲しいかなその場所は松くい虫にやられてしまったそうです。枯れた松は山から滑り落ち,巨大な松の槍となって私たちの生活を襲うでしょう。また,山林の崩壊による土砂崩れの危険も隣り合わせとなります。

 果たして,空中散布を止めようとしている方は,そこに暮らす人々の生活をどうやって保障するのでしょうか。責任はとれるのでしょうか。

 空中散布をやめた山々は茶色く変色し,荒れて無残な姿となるのでしょう。事故の危険度は増し脅かされた暮らしとなるのでしょうか。少数の反対派は歓喜し,大多数の賛成派は落胆するのでしょうか。

 市民生活に根差した政治判断が必要です。