働くとは

働くとは,「傍を(人を)楽」にすること,などと言われておりますが,これは勤労を尊んだ表現として私自身は気に入っています。

さて,労働省などといえば年がわかろうというものですが,厚生省から労働行政が分離して労働省ができたのが昭和22年。その後厚生省と労働省が統合して厚生労働省ができたのが平成13年。つまり,労働省という名称が消えて早14年がたちます。

働くということは生きる糧を得ることでもあり,国民にとって極めて重要な行政部門であるにもかかわらず,厚労省という中に「労働」が包含された結果,何か「なおざり」な感じがしてしまうのは私だけではないと思います。

今般,労働者派遣法が改正され,それまで3年と決まっていた派遣期間が人を変えれば何年でも派遣のままで仕事を行わせることができるようになりました。

経営者からいえば賃金コストの抑制につながり歓迎なのでしょうが,働く側からいえば,一生懸命働いても身分は変わらず給与も変わらず,ということになってしまいます。

政治には人々の人生において関わるべき三つの課題があります。それは,健康,老後,労働です。意欲を持って働くことこそが最も重要な人間の営みといえます。

国では派遣法の改正が済みましたので,これからはさらに経営者に有利な労働時間規制の撤廃へと進んでいきます。法が施行となれば年間所得で決める労働時間規制も,徐々に年間所得で決めなくてもよいとなりかねません。

国や経営者は,何のために働くのかを考えてみていただきたい。勤労とはなんなのか,株主だけのために「働く」ことではないはず。もっと言えば,自分の子供が働くときに「派遣」だけでいいと思うのか,「残業」代は支払ったものとみなされてよいのか,よく考えていただきたい。

働くことは生きる糧を得るばかりでなく,人間的成長があり,さらに老後に働くことは生きがいにつながる大切な営み。

「勤労」という言葉が死語にならないことを祈るばかりです。