連携中核都市を考える

前回は連携中枢都市のアバウトな部分に触れました。今回はその実態に近づいてみようと思います。

連携中枢都市となるためには,「連携中枢都市宣言」(中核となる市と連携を結ぶ市町村を記載)を行う必要があります。つまり,連携していく市町村のリーダーとなること,「やる気」を見せることがまずはじめにあります。
そして,その後に宣言に記載に他市町村と,1対1で連携協約を結びます。そして,どういった連携中枢都市としていくのか,「連携中枢都市圏ビジョン」を策定します。その際,ビジョンの策定には産業,大学,教育,公共交通などの代表者は入りますが,連携する市町村はその構成員とはなっておりません。つまり,連携中枢都市のリーダーシップが強く求められるのです。

一方,現在似たような制度として,広域連携,すなわち自治体間の「共同処理」,いわゆる「一部事務組合」,「広域連合」といった事務処理の方法もありますが,こうした形は迅速な意思決定ができない,機関等の共同設置は中心的役割を果たす市町村の負担が大きい,といった課題があり,それよりも使い勝手の良い制度として連携中枢都市圏というものが出てきたということです。
使い勝手の良さとして挙げられるのが,①政策面での役割分担について自由に盛り込むことができる,②別組織をつくらないでより簡素で効率的な仕組みが可能,③1対1で締結する,④自治体間の連携を安定的なものとする,⑤裁判所によらない紛争解決の手段があらかじめビルトインされている,といったことがあげられます。

こうして出来上がっていく連携中枢都市ではありますが,連携中枢都市のリーダーシップにつながるとともに,一方では連携市町村の従属ということも考えられます。連携中枢都市圏を形成すると,連携中枢都市のビジョンに自動的に組み込まれ,連携をした以上連携している市町村は,容易には離脱できないようです。

連携中枢都市の形成によって圏域では,連携中枢都市への「ひと・もの・しごと」の集積が促進され,連携市町村は生活関連機能に限定される結果,連携市町村の空洞化が進行する恐れがあるといわれています。さらに,連携中枢都市に集積した富の再配分の要求が住民から出てきた場合,それぞれの市町村だけでは解決できませんので,圏域内の自治体の合併という話も出てくることが想定されます。

これを良しとしない考え方も当然あるでしょうから,連携中枢都市圏の形成と,現在の市町村連携とそれを補完する県との二層性を含めた検討が必要のようです。